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繁盛奉行のお店訪問診断

Vol.1 入りやすいお店を作るには
Vol.2 新しいお客様を獲得するには
Vol.3 売上を確保するためには
Vol.4 店内ディスプレー・店舗の外観を整える
Vol.5 新規のお客様を取り込むために、何を扱うお店なのか明確にする
Vol.6 近隣の大型店舗との差別化を図るには
経営コンサルタント 橋本泉
中小企業診断士・1級販売士
大学卒業後、株式会社和光の紳士婦人用品売り場に勤務。平成9年にコンサルタントとして独立。小売店へのアドバイス、サービス業のマニュアル作りや研修など「勝ち残る企業」づくりの支援に従事。

Vol.1 入りやすいお店を作るには

千葉駅からJRで2駅目の都賀駅から歩いて2分ほどのところにあるお店です。ハワイを中心とした輸入雑貨と子供衣料(一部大人衣料有り)を販売しています。商品と価格帯は、雑貨1000円〜2000円台、子供衣料1000円〜3000円台、一部大人衣料2000円台〜4000円台が中心です。ラクーンは、販促用にキャラクターグッズやおもちゃなどの仕入れにご利用いただいています。ありがとうございます。今後はセール向けの子供服等の仕入れを検討していらっしゃるとのことです。

当初から専門家のアドバイスは一度も受けた事が無く、開業後1年9ヶ月ほど、試行錯誤しながら独学で工夫をなさっています。でも、常に「何か間違っているのでは?」との不安があり、繁盛奉行への応募となりました。

具体的な現在のお悩み・チェックポイント
1)売上げが思うように延びない
2)商品の陳列や品数、ショーウィンド等に問題は無いか

売上対策の考え方
まず「売上」とは何からできているか、その成り立ちを考えて見ます。売上とは、「客単価×客数」です。客数は新しいお客様と既存のお客様の2つに分解できます。掛け算ですから客単価、客数(新規客+既存客)いずれかが増えれば、積としての売上も増えます。自店の売上を考えるときには、まずどこを増やすのかを考えます。

客数の場合、周辺にお住まいのお客様に繰り返しご利用いただけるお店になるか、あるいは個性のある店として、遠方からもお客様を呼べる店にするのか、を明確にします。遠方からもお客様をお迎えする店となるなら、新しいお客様を増やせる可能性は高まります。ただし、遠方からわざわざお越しいただけるだけの魅力を備えた品揃えをすることが求められます。遠方からお客様を魅き付けるほどの個性を訴え、特徴を打ち出します。

ラウレアさんの場合は、立地がターミナル駅ではなく住宅地に近い駅ですから、どちらかというと地元の方に繰り返しご利用いただく店になります。ただし、フラダンスの愛好者同士の口コミで千葉県内各地からのお客様もいらっしゃるとのこと。つまり、地元の既存客継続利用+新規客をお迎えすることの両方の可能性があります。さて、どのようなお店にしましょう?

室町さんは、そこが絞り込めずに試行錯誤されているようでした。店内にはハワイに関するさまざまな商品があって、見ていると大変楽しいのですが、取扱商品の幅が広がりすぎているようです。取扱商品が広がりすぎると、何の店だかはっきりしなくなり、雑多な印象になってしまいます。効率も悪くなります。室町さんも、今後は絞込みをしていきたいとの考えはお持ちです。そこで、お店のあり方をどうしようか?と考えることになります。お店のあり方は「誰に」「何を」「どのように」売るのか、この3点で絞り込む軸をしっかり持って考えます。ところが実際には「何を」売るか、商品中心になりやすいようです。

自分でお店を始めるからには、相当な思い入れや憧れがあると思います。それがないと魅力的な店はできません。しかし、「思い」だけでは店を支えることは難しいでしょう。そこで、「事実」を分析してみます。売れているもの、利益が出るもの、お客様からの要望が多いもの、は何でしょうか。あるいは、売れると思ったのに売れなかったものは何でしょうか。それはどうしてでしょうか。こうした分析の視点を持って自店を見直していきましょう。


Detail Check グットポイント

1) ウインドー越しに店内が見える
店内の様子がウインド越しに見えるので、安心して入店できます。外から見えているキルトの小物類はよく売れているようです。買いやすい価格帯のものを定期的にこの場所で見せていくとよいでしょう。
2) 店頭正面には衝動買い商品を
入店してすぐの店頭正面は通りからもっとも目立つところです。季節商品や手軽に買える商品を展開して店に誘導し、入店のきっかけにします。「アクセサリー感覚で気軽に持てるエナメル風バック 色違い、デザイン違い揃います」といったメッセージがあると店の外からも見えて興味をそそります。

Detail Check アドバイスポイント

1) ひと目で何を売っている店かがわかるようにする

道行くお客様に対して何を売っている店なのか、すぐにわかるように店頭を演出します。現状の外観だけでは、『ハワイアングッズを扱っている店』であることが、十分に伝わらないようです。パイナップル、やしの木、ハイビスカスといった分かりやすいアイテムを使って演出をします。トーテムポールや南国系の植物を店頭に置いても雰囲気が出せます。


2) 看板、ロゴはできれば統一を

置き看板はスーツケース型。おしゃれなデザインですが、一目ではわかりにくい。
スーツケースだとわかるようにハワイアンエアのステッカーをはってはいかがでしょう?オーニング(入り口上部のテント)の色と看板の文字の色が統一されていますが、できればスーツケースも同じ青色だと訴求力が高まります。素朴な木製ペンキ塗りの置き看板でもハワイの田舎風の雰囲気がでます。
3) 段差はつなげる

入り口に段差がある場合は、スロープでつなげます。ラウレアさんは、小さなお子様用の服を扱っているので、ベビーカーでご来店なさるお客様が十分に想定されます。どの店でも、ターゲットとする客層にとって、利用しやすい店にすることが必要です。


4)玄関マットを明るく

「入りやすい店」にするためには、入り口付近で歓迎ムードをアピールします。ラウレアさんは間口が狭めで、やや入りにくいと感じられます。間口そのものは物理的に直しようがないので、マットで歓迎の意を伝えましょう。色は明るめで、[WELCOME]あるいは[ALOHA][MAHALO]といったハワイ語の文字が書かれたものがあれば言うことないですね。


5) 入り口を明るく

間口の狭さをカバーするために、店の入り口を明るくします。ショーウインド、店頭付近は、できれば店内の2〜3倍明るくします。ウインドー内にもスポットライトを使います。ただし、ライトの熱や直射日光で商品が焼けないように注意します。
   
6) ショーウインドから情報発信

「輸入子供服」の表示だけでは、高そうなイメージが伝わってしまいます。これを払拭するように値段とメッセージを明示します。「ハワイから直輸入の子供服」「明るく元気なデザインがおすすめ」「店内も多数あります」といった簡単なPOPを添えます。ディスプレイされた商品の値段が分かると、店にも入りやすくなります。ただし、服から値札がぶら下がっている状態だと、見栄えがよくないので注意します。コーディネート全体のプライスを書いたカードを腰のあたりにつけます。キルトのように、高いものはその理由やおすすめポイントをPOPで説明します。


7) ウインドはまめにチェンジ

住宅地立地の場合は、同じお客様が毎日往来します。毎日ディスプレイを替えれば、
店内に入らなくても、1週間で7種の商品を紹介できます。こうして店前を通行するお客様と商品との接点を多く作るようにします。毎日替えれば、商品の日焼けの防止にもなります。
   
8) 見栄えがするディスプレイに

ディスプレイする商品は、無地よりも派手なデザインのほうが目を引きます。無地のものが残ってしまったら、アクセサリーを肩や腰の部分につけて、アイキャッチにします。可能であれば、ビジュアル用にも商品を仕入れます。こうした「見せ色」のつもりの商品が案外、ディスプレイ直後に売れることもあります。


9) ディスプレイは三角構成で

現状のウインドディスプレイでは、下の方に商品が固まっていて、やや平面的です。1つ1つの商品の印象を高めるためには、ひな壇に乗せて高さに変化をつけます。シンプルな什器をいくつか持っていて組み合わせるようにすると、展示する商品によって自由に形を変えることができます。ここでは、アクリルキューブを階段状に重ねて布を敷き、花や個性的な置物を飾って演出をします。このとき、図に書き込まれたような三角形を意識して構成すると、商品に迫力が出て、品良く目立たせることができます。ここに立ち止まると、店内が見えますので、安心して入店することができます。

ラウレアさんの季節は春から夏がメイン。今回の取材は冬の終わりの間際の商品展開をしているときでした。まもなく室町さんご自身が、ハワイに買い付けに行かれるそうです。フラダンス愛好者用の服を増やしたいとのこと。また子供用のかわいらしい水着も店内に並ぶ予定です。ロコスタイルのシーズン本番に向けて、今回の奉行参上が店舗展開の参考になりましたら幸いです。